葬儀の場で祭壇に捧げられるものとして、「供物(くもつ)」と「供花(きょうか・くげ)」があります。どちらも故人への弔意を示すために贈られるものですが、その性質や役割には明確な違いがあります。この違いを理解しておくことは、より適切な形で弔意を伝える上で役立ちます。最も分かりやすい違いは、その名の通り、供物が「物」であるのに対し、供花が「花」であるという点です。供物は、主に果物やお菓子、缶詰、線香といった品物を指します。一方、供花は、菊や百合、胡蝶蘭といった生花を、花輪やかご、スタンドなどの形にアレンジしたものを指します。その役割にも違いがあります。供花は、祭壇の周りを華やかに飾り、故人の最後の旅路を美しく彩るという、装飾的な意味合いが強いものです。白い花が基調となるのは、清らかさや故人への敬意を表すためです。それに対し、供物は、より宗教的、あるいは実用的な意味合いを持っています。仏教においては、故人の霊を慰め、あの世での糧となるようにという願いが込められています。また、かつては葬儀を手伝う人々への食料支援という、現実的な役割も担っていました。贈り主の示し方にも、慣習的な違いが見られます。供花の場合、スタンドなどに「〇〇会社 代表取締役 〇〇」といったように、贈り主の名前を記した大きな木札が立てられるのが一般的で、誰が贈ったかが一目で分かるようになっています。一方、供物は、盛籠などに比較的小さな名札が付けられることが多く、供花ほど贈り主を誇示するような形にはなりません。どちらを贈るべきか迷った場合は、一般的に、故人と特に親しい間柄であったり、親族であったりする場合は供花を、会社関係や友人として弔意を示したい場合は供物を選ぶことが多いようですが、明確な決まりはありません。葬儀社に相談し、全体のバランスを見ながら決めるのが良いでしょう。
供物と供花は一体何が違うのか