葬儀にふさわしい供物の選び方
故人を偲び、遺族への弔意を示すために贈る供物。その品物選びには、故人への敬意と、その場にふさわしいマナーが求められます。どのような品物が供物として適しているのか、また避けるべきものはあるのか、その基本的な選び方を心得ておくことが大切です。まず、供物として最も一般的に選ばれるのは、後に残らない「消え物」です。これは、不幸を後に引きずらないように、という意味合いが込められています。具体的には、季節の果物を籠に盛り合わせた「盛籠(もりかご)」が代表的です。りんごやメロン、ぶどうなど、丸い形の果物は「縁」を繋ぐとされ、特に好まれます。また、日持ちのするお菓子(焼き菓子や煎餅など)の詰め合わせや、缶詰、乾物、お茶なども定番の品物です。これらは、葬儀後に遺族が親族で分け合う際にも都合が良いという利点があります。宗教的な品物としては、線香やろうそくの詰め合わせも、仏式の葬儀では非常に心のこもった供物となります。一方で、供物として避けるべき品物も存在します。最も注意すべきなのは、肉や魚といった「殺生」を連想させる生ものです。仏教の教えに反するため、これらは絶対に避けるべきとされています。また、お祝い事を連想させる、鰹節や昆布、お酒なども、一般的には不祝儀の場にはふさわしくないとされています。ただし、故人が生前ことのほかお酒が好きだった場合など、遺族の了承があれば例外的に供えられることもあります。品物選びに迷った際には、葬儀社に相談するのが最も確実です。葬儀社では、供物用の盛籠などを各種用意しており、地域の慣習や宗教にも詳しいため、適切なアドバイスをもらえます。大切なのは、豪華さではなく、故人と遺族の心を思いやる気持ちです。