葬儀を執り行う際、遺族は悲しむ間もなく、様々な手配に追われます。その中でも、参列者に振る舞う食事の準備は、感謝の気持ちを示すための重要な要素であり、多くの遺族が頭を悩ませる問題の一つです。特に、近年増えている会館での葬儀では、仕出し弁当を用意するケースが主流となっています。では、この葬儀で用意されるお弁当の値段は、一体どのくらいが相場なのでしょうか。葬儀でお弁当が必要になる場面は、主に三つあります。一つ目は「通夜振る舞い」、二つ目は火葬中に待合室で食べる「火葬場での食事」、そして三つ目が火葬後に行う「精進落とし」です。それぞれの場面で、お弁当の目的と内容が異なるため、値段の相場も変わってきます。まず、通夜の後に弔問客に振る舞われる通夜振る舞いでは、大皿のオードブルや寿司桶を囲む形式も多いですが、個別の折詰弁当を用意する場合、一人当たりの値段相場は二千円から四千円程度です。故人を偲びながら、軽く食事をしていただくという意味合いが強いため、比較的簡素な内容になることが多いです。次に、火葬場で待つ一時間半から二時間ほどの間に食べるお弁当は、一人当たり二千円から五千円程度が相場となります。限られた時間とスペースで食べるため、コンパクトで食べやすい内容のものが好まれます。寿司の折詰や、品数を絞った松花堂弁当などが一般的です。最後に、初七日法要と合わせて行われることが多い精進落としは、僧侶や親族を労い、感謝を示すための重要な会食です。そのため、最も格式が高く、値段も張る傾向にあります。相場は一人当たり四千円から一万円程度と幅広く、本格的な懐石料理の折詰弁当などが選ばれます。もちろん、これらの値段はあくまで目安であり、地域や葬儀社、お弁当の内容によって大きく変動します。大切なのは、値段の高さだけでなく、故人を偲び、参列者への感謝の気持ちが伝わるおもてなしを心がけることです。
葬儀で用意するお弁当の値段相場