大切な人が息を引き取ったその瞬間から、喪主の務めは始まります。深い悲しみと動揺の中で、冷静に行動することは非常に困難ですが、最初に行うべきいくつかの重要な手続きがあります。この初動が、その後の葬儀全体の流れをスムーズにするための土台となります。まず、病院で亡くられた場合、医師から必ず「死亡診断書(死体検案書)」を受け取ります。この書類は、役所に死亡届を提出し、火葬許可証を得るために必須であり、その後の生命保険の手続きなど、あらゆる場面で必要となる極めて重要な公文書です。受け取ったら、絶対に紛失しないように大切に保管し、後の手続きのために、すぐに数枚コピーを取っておくことを強くお勧めします。次に、決断しなければならないのが「葬儀社」です。もし生前に決めていた葬儀社があれば、すぐに連絡を取ります。決まっていない場合は、病院が提携している葬儀社を紹介してもらうこともできますが、必ずしもそこに依頼する必要はありません。落ち着いて、いくつかの葬儀社に連絡を取り、対応や料金を比較検討する時間的な余裕はまだあります。そして、葬儀社が決まったら、ご遺体の「搬送」と「安置」を手配します。病院の霊安室にご遺体を長く安置しておくことはできないため、速やかに、自宅あるいは葬儀社の安置施設へとご遺体を移さなければなりません。葬儀社に連絡すれば、専用の寝台車で速やかに迎えに来てくれます。自宅に安置する場合は、仏壇のある部屋や、ご本人が使っていた部屋に、布団を敷いて準備をします。この際、北枕にするのが一般的です。ここまでが、ご逝去から数時間のうちに、喪主が主体となって判断し、行動しなければならない、最初にして最も重要な「やること」です。この段階を乗り越えれば、その後の具体的な準備は、葬儀社の担当者が丁寧に導いてくれます。
ご逝去直後喪主がまずやるべきこと