葬儀当日の納骨を円滑に、そして後々のトラブルなく行うために、何よりも重要となるのが、菩提寺がある場合の「お寺への事前相談」です。これを怠ってしまうと、納骨そのものができなかったり、お寺との良好な関係が損なわれたりする可能性さえあります。当日納骨は、伝統的な四十九日法要を省略する形になるため、お寺や住職の考え方によっては、必ずしも快く受け入れられるとは限りません。特に、古くからのしきたりを重んじるお寺の場合、「故人の魂が落ち着くまでは、ご自宅で供養するのが本来の形です」と、難色を示されることも考えられます。そのため、ご逝去後、葬儀社と打ち合わせを始めるのとほぼ同じタイミングで、まずはお寺に連絡を取り、住職のご意向を伺うことが不可欠です。「かくかくの事情で、遠方の親族も多いため、葬儀の当日に納骨までお願いしたいと考えているのですが、よろしいでしょうか」と、丁寧に相談を持ちかけます。その際に、なぜ当日納骨を希望するのか、その理由(遺族の高齢化、親族の負担軽減など)を正直にお話しすることで、住職の理解も得やすくなります。相談が受け入れられたら、次に具体的な日程調整に入ります。住職のご都合の良い日時を最優先に考え、それに合わせて葬儀や火葬の時間を組んでいくのが筋道です。そして、その電話の際に、お布施についても率直に尋ねてしまうのが最も確実です。「大変恐縮ですが、当日納骨をお願いする場合、お布施はどのようにご用意させていただいたらよろしいでしょうか」と伺えば、多くの場合、目安や用意の仕方を教えてくれるはずです。このような事前の丁寧なコミュニケーションが、お寺との信頼関係を築き、故人のための、そしてご遺族のための、心安らかな儀式の実現に繋がるのです。自己判断で事を進めるのではなく、まずは相談する。それが、成功の最大の鍵と言えるでしょう。
お寺への事前相談が成功の鍵