葬儀・告別式が終わり、故人が荼毘に付される火葬場。ご遺骨が準備されるまでの約一時間半から二時間という時間は、遺族や親しい親族にとって、故人との思い出を語り合いながら静かに過ごす、最後のプライベートな時間となります。この待ち時間に振る舞われるのが、火葬場のお弁当です。限られた時間と場所で食べる食事だからこそ、その選び方にはいくつかの配慮が必要となります。まず、値段の相場ですが、一人当たり二千円から五千円程度が一般的です。通夜振る舞いのように多くの人に振る舞うものではなく、ごく近しい親族のみで食べることが多いため、少し質の良いものを選ぶ傾向にあります。値段によって内容は大きく変わります。二千円から三千円程度の価格帯では、幕の内弁当や松花堂弁当が主流です。一方、四千円から五千円になると、寿司の折詰や、品数を増やした懐石風の豪華な弁当も選択肢に入ってきます。内容を選ぶ際に最も重視すべきなのは「食べやすさ」です。火葬場の控室は、必ずしも広々とした空間とは限りません。テーブルや椅子も限られているため、広げないと食べられないような大げさなものではなく、膝の上でも食べられるような、コンパクトにまとまった折詰が適しています。また、温かい状態で提供されるものではなく、冷めても美味しく食べられる調理が施されていることが前提となります。寿司の折詰が人気なのは、こうした理由もあります。そして、非常に重要なのが、その火葬場のルールを事前に確認することです。火葬場によっては、衛生上の理由などから、外部からの飲食物の持ち込みを一切禁止している場合があります。その場合は、火葬場が提携している業者のお弁当の中から選ぶことになります。葬儀社は地域の火葬場のルールに精通しているため、まずは担当者とよく相談することが大切です。飲み物についても、アルコールは控えるべきかなど、親族間で事前に話し合っておくと、当日スムーズに過ごすことができるでしょう。
火葬場でのお弁当その値段と選び方