供物を贈る際に守るべき作法
葬儀に供物を贈る際には、品物選びだけでなく、その贈り方にも守るべき作法があります。正しいマナーで贈ることによって、弔意がより深く、そして丁寧に伝わります。まず重要なのが、贈るタイミングです。供物は、祭壇を設営する際に一緒に飾り付けるため、通夜が始まるまでには会場に届いている必要があります。そのため、通夜の前日、あるいは当日の午前中までを目安に手配するのが一般的です。あまりに早く届けすぎても、会場の準備が整っておらず、かえって迷惑になる場合があるため注意が必要です。次に、誰からの供物かを明確にするための「名札(芳名名札)」の扱いです。供物には、必ず贈り主の名前を記した名札を付けます。個人で贈る場合は氏名をフルネームで、夫婦連名の場合は夫のフルネームの左に妻の名前を記します。会社として贈る場合は、正式な会社名と代表取締役の役職・氏名を記すのが一般的です。友人一同や部署一同など、複数名で贈る場合は「〇〇一同」とし、別紙に全員の氏名と住所、金額などを記載して添えると、遺族が後で香典返しなどを手配する際に助かります。手配の方法としては、葬儀を執り行っている葬儀社に直接依頼するのが最もスムーズで確実です。葬儀社に連絡し、故人と喪主の名前を伝えれば、その葬儀にふさわしい供物を手配し、名札の準備から飾り付けまで、すべてを滞りなく行ってくれます。自分で品物を用意して持参することも可能ですが、その場合は事前に遺族や葬儀社にその旨を伝え、受け取りが可能か、いつまでに持ち込めば良いかを確認する配慮が必要です。供物は、故人と遺族への思いやりを形にしたものです。その気持ちがきちんと伝わるよう、細やかな作法を守りたいものです。