葬儀において、喪主は遺族の代表として、精神的にも物理的にも非常に大きな負担を背負うことになります。その重責を一人で抱え込ませないために、他の家族や親族が、それぞれの立場で喪主を支え、協力し合うことが、良い葬儀を執り行う上で何よりも重要です。喪主が「総監督」だとすれば、他の家族は、それぞれの持ち場を担当する「コーチ」や「スタッフ」のような存在です。まず、喪主の配偶者や兄弟姉妹といった、最も近しい家族がやるべきことは、喪主の「相談役」になることです。葬儀社との打ち合わせに同席し、プランや費用の決定に際して、意見を述べたり、情報収集を手伝ったりします。喪主が悲しみのあまり冷静な判断ができない場面では、客観的な視点からアドバイスをすることも大切な役割です。次に、具体的な「分業」です。例えば、一人は親戚や関係者への連絡係を担当し、もう一人は会計係として香典の管理を担当する。また、遠方から来る親族の宿泊先の手配や、当日の手伝いの依頼といった、細々とした実務を分担することで、喪主の負担は劇的に軽減されます。葬儀当日には、喪主が挨拶や僧侶への対応で手一杯になるため、他の家族が弔問客への細やかな気配り(お茶出しや席の案内など)を担当することも重要です。特に、喪主が挨拶で言葉に詰まってしまった時、そっと隣で支えてあげる、といった精神的なサポートは、何物にも代えがたい助けとなります。そして、葬儀が終わった後も、膨大な量の手続きを分担して進めていく必要があります。葬儀は、喪主一人で戦うものではありません。故人を失った悲しみを共有する家族が、一つのチームとなって喪主を支え、それぞれの「やること」を全うすること。その団結力こそが、故人への最大の供養となるのです。